結論から言うと、NFTの取引で得た利益には税金がかかります。
NFTは、取引の形態によって課税される税金の種類が異なりますが、いずれの場合も確定申告が必要となります。
この記事では、NFT取引に関する税金について、取引の具体例を参考にわかりやすく解説します。
NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係(国税庁HPより引用)
まず最初に、国税庁がNFTに関する課税関係について公開している内容をご紹介します。
正直、表現などが少し難しいので、ここは流し読みして次節の具体例からを参考にしてもらえるとわかりやすいと思います。
1 いわゆるNFT(非代替性トークン)やFT(代替性トークン)が、暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、そのNFTやFTを用いた取引については、所得税の課税対象となります。
※ 財産的価値を有する資産と交換できないNFTやFTを用いた取引については、所得税の課税対象となりません。
2 所得税の課税対象となる場合の所得区分は、概ね次のとおりです。
(1) 役務提供などにより、NFTやFTを取得した場合
・ 役務提供の対価として、NFTやFTを取得した場合は、事業所得、給与所得または雑所得に区分されます。
・ 臨時・偶発的にNFTやFTを取得した場合は、一時所得に区分されます。
・ 上記以外の場合は、雑所得に区分されます。
役務提供(他人のために行う労働やサービスのこと)
法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「役務の提供」とは、例えば、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他のサービスを提供することをいい、弁護士、公認会計士、税理士、作家、スポーツ選手、映画監督、棋士等によるその専門的知識、技能等に基づく役務の提供もこれに含まれる。
(2) NFTやFTを譲渡した場合
・ 譲渡したNFTやFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当する場合(その所得が譲渡したNFTやFTの値上がり益(キャピタル・ゲイン)と認められる場合)は、譲渡所得に区分されます。
(注)NFTやFTの譲渡が、営利を目的として継続的に行われている場合は、譲渡所得ではなく、雑所得または事業所得に区分されます。
・ 譲渡したNFTやFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当しない場合は、雑所得(規模等によっては事業所得)に区分されます。
NFTの取引で税金が発生する具体例
それでは実際のNFT取引の事例を参考に、発生する税金の種類と税額を見ていきましょう。
仮想通貨でNFTを購入
NFTを仮想通貨で購入する場合、NFT購入に支払う仮想通貨自体の価格が値上がりすることで税金が発生するケースがあります。
具体例として、次のような流れで取引を行ったとします。
- NFTを購入するために仮想通貨1ETHを5万円で購入。
- その後、ETHの相場が上昇し、1ETH=30万円に価格が上昇する。
- このタイミングでNFT作品を1ETHで購入。
結論から言うと、このケースの場合はETHの値上がり分である25万円の利益を得たものとして課税されます。
これは、「NFT作品の購入」=「仮想通貨の売却」とみなされるからです。
よって、所得区分は仮想通貨の売買と同じ「雑所得」となります。
なお、仮想通貨ではなく日本円でNFTを購入する場合、このケースの課税は対象外です。
NFTの普及とともに、日本円で決済ができるNFTマーケットプレイスも増えてきているので、余計な税金をかけたくない人はそちらを選ぶといいでしょう。
保有しているNFTの売却
NFTを購入時の価値よりも高い価格で売却すれば利益となります。
この場合の損益計算は単純に、「売却価格 ー 購入時の価格」です。
売却時のNFT価値が、購入時よりも下がっている場合は損失となります。
さて、この場合の所得区分ですが、国税庁のサイトでは次のとおり示されています。
譲渡したNFTやFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当する場合(その所得が譲渡したNFTやFTの値上がり益(キャピタル・ゲイン)と認められる場合)は、譲渡所得に区分されます。
(注)NFTやFTの譲渡が、営利を目的として継続的に行われている場合は、譲渡所得ではなく、雑所得または事業所得に区分されます。
要約すると、基本的には譲渡所得であり、何度も継続的に売買を繰り返した場合は雑所得または事業所得となるということです。
なお、雑所得はお小遣い稼ぎ程度の利益で、事業所得はその所得のみで生計を立てられる程の利益を得た場合に適用されます。
クリエイターとしてNFTを出品販売
NFTの販売によって得た所得の所得区分は、クリエイター業務を副業として行っているか、または事業として行っているかによって異なります(雑所得または事業所得)。
自分で作成したデジタルアートなどをNFTとして販売した際は、その売却益が所得となります。
また、NFTは転売されるたびに、取引額の一部がロイヤリティ報酬としてクリエイターに支払われるため、これも所得とみなされます。
国税庁のサイトでは次の記載が該当すると考えられます。
譲渡したNFTやFTが譲渡所得の基因となる資産に該当しない場合は、雑所得(規模等によっては事業所得)に区分されます。
クリエイターとして自分の作った作品を売却した場合は、もともと購入しているわけではないので、「譲渡所得の基因となる資産に該当しない場合」(値上がり益ではない)に該当し、この場合は雑所得(事業として一定以上の規模で行なっている場合は事業所得)に該当します。
NFTゲームで仮想通貨を入手
NFTゲームでは、ゲームで遊びながらお金を稼ぐことができる「Play to Earn」による利益が発生します。
NFTゲームには様々な稼ぎ方がありますが、基本的には次のようなタイミングで利益がを得ることとなります。
- 仮想通貨でNFTゲームのキャラクターやアイテムの購入
- 取得したNFTを売却
- 暗号資産の無償取得
上記1と2のNFTの購入・売却は、それぞれ先にご紹介した「①仮想通貨でNFTを購入」「②保有しているNFTの売却」と同様の取り扱いとなります。
続いて、上記「3仮想通貨の無償取得」について解説します。
NFTゲームをプレイすることにより、仮想通貨を無償で取得できる場合があります。
無償で取得するので、仮想通貨の取得時点の価格がそのまま利益となり、基本的には雑所得に区分されると考えられます。
NFTの取引で利益を得た場合にやるべきこと
これまでにご紹介したNFTの取引においては、いずれの場合も利益を得た際には自分でその内容を申告(確定申告)する必要があります。
NFTの取引で利益が出ている場合は確定申告を行いましょう
NFTの取引で一定以上の利益が発生した場合は、確定申告を行う必要があります。
仮想通貨の高騰でいわゆる「億り人」が出た時にも税金の問題が取り上げられました。
一定以上の利益を得ているにもかかわらず確定申告をしなかった場合、税務署に調査されて課税される上に延滞金などの余計な出費が増えることにもなりかねないので、確定申告をする準備と必要な情報収集をしておきましょう。
NFTの損益計算はどのように行えば良いのか?
NFT取引の確定申告においても、損益計算を行い年間の利益額(または損失額)を算出する必要があります。
取引の記録はしっかりと残しておき、確定申告に備えましょう。どの程度の利益で申告が必要かどうかや申告に必要な情報等は事前に住んでいる自治体の税務署に問い合わせるといいでしょう。
また、NFTの取引ではETHなどの暗号資産の取引も同時に行っているケースがほとんどであるため、暗号資産取引も含めた損益計算を行う必要があります。Gtaxのような損益計算ツールを活用することで計算作業を効率化することができるため、適切に計算を行い、確定申告を実施しましょう。
仮想通貨の損益計算については、取引所から取引履歴をダウンロードすることができますので、その取引情報をもとにGtaxなどの損益計算ツールや国税庁の暗号資産の計算書(エクセル)を使うことで計算を行うことが可能です。
ただし、NFTの取引ができるプラットフォームでは、損益計算用のデータが整備されていないことが多いことから、自分自身でブロックチェーンエクスプローラー等を利用して取引履歴の管理をし、Gtax等の損益計算ツールによって損益計算を行う必要があります。
なお、この場合の損益計算では以下の情報が必要になるため、取引履歴の管理を行う際は以下を参考に記録しておきましょう。
- 売買日時
- 購入(または売却)したNFT
- 支払った(得た)仮想通貨名
- 支払った(得た)仮想通貨の数量
- 手数料
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