NFT(代替不可能なトークン)とは、唯一無二のトークン(代替貨幣・引換券)という意味で、デジタルアートやブロックチェーンゲームのアイテムなどが該当します。
デジタルデータに唯一性を与えることができるNFTは、上記以外にもさまざまな分野で実用化が進んでいます。
この記事では、NFTの多様な種類や購入方法などについて、詳しく解説しています。
NFTとは?
NFTは、Non-Fungible Tokenの略です。
Non-Fungibleは代替不可能でTokenは代用貨幣や引換券といった意味があります。
NFTというと、高額で取引されるデジタルアートなどを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、言葉の意味としては、デジタルのものに限定されません。
現実に存在するゴッホやピカソの有名絵画などは、それぞれが唯一無二の価値を持つNFTであると言えます。
一方で、代替可能(Fungible)なToken(FT)としては、それぞれが全く同じ価値である現実の通貨やビットコインなどの仮想通貨が該当します。
NFT市場は急速に拡大中!
NFTはブロックチェーン技術により改ざんから守られ、世界中でグローバルに売買できることから、コンテンツや権利の流通革命とされており、今やデジタルアートやゲームアイテムなどが毎日のように生み出され、取引されています。
また、NFTを語る上でメタバース(仮想空間)の存在も忘れてはいけません。
メタバースは次世代のSNSとも言われており、ゲームなどの遊びだけではなく、仕事やファッションなど現実世界でのあらゆる活動が仮想空間で行われます。
このメタバースにおいて、デジタルのお金(仮想通貨)でデジタルのモノやサービス(NFT)がやりとりされる市場が成り立っているのです。
高額で取引されるNFT
NFTの中にはかなりの高額で取引されているものもあります。
例えば、Beepleというアーティストが作成した5000枚の画像をまとめた作品「Everdays – The First 5000 Days」がオークションで約75億円の値をつけて落札されたほか、Twitter史上初のツイートが約3億円で落札されています。
このように、現実で手に触れることのできないNFTが高額で取引される理由のひとつに「希少性」があげられます。
「Everdays – The First 5000 Days」の場合、Beepleが毎日1枚のデジタルアートを約13年間に渡って作成した5000枚の画像ということで、費やされた時間や作品の特殊性が唯一無二の希少価値を生み出しているものと言えるでしょう。
この唯一無二の作品にブロックチェーン技術による「本物」であることの証明が加われば、デジタルの作品と言えど、確かな価値があるものとして評価されるのです。
NFTは誰でも作成できる
コレクションや投資の対象として注目されるNFTですが、誰でも作成して出品することが可能です。
NFTだからと言って難しい処理をする必要はなく、一般的に使われているIllustratorやPhotoshopなどで作成した画像データをNFTとして出品します。
有名なNFT「CryptoPunks(クリプトパンクス)」のようなドット絵であれば、スマホアプリでも作成が可能です。
NFTの購入方法
NFTの取引には主にイーサリアム(ETH)という仮想通貨が用いられることが一般的なので、まずは仮想通貨を手に入れましょう。
- 仮想通貨取引所の口座を開設し、仮想通貨を購入
- 購入した仮想通貨を「ウォレット」という仮想通貨を管理する財布に送金
- NFTマーケットプレイス(NFT販売所)に登録
- NFTマーケットプレイスで欲しいNFTを探して購入
仮想通貨取引所とNFTマーケットプレイスの両方を運営している「Coincheck NFT」などは、仮想通貨の口座から直接NFTを購入できるため、上記2の手順が不要な上に、仮想通貨を扱う上で懸念される「ガス代」と呼ばれる手数料も発生せずおすすめです。
日本円で直接購入できるNFTマーケットプレイスもあるので、より簡単にNFTを入手したい人やガス代を払いたくない人にはおすすめです。
NFTは最低いくらで購入できる?
NFT作品自体は0.01ETH(2,000円程度)で購入できるものもあります。
しかし、ETHやNFT作品の購入時にはガス代と呼ばれる手数料が発生します。
仮想通貨取引所やNFTマーケットプレイスによって、ガス代の形態は様々ですが、例えば・・・
- ETHの購入(0.0015ETH)
- ETH→WETH(NFTを購入するためのコイン)への変換(0.001〜0.01ETH)
- NFTの購入・入札(0.005〜0.01ETH)
- NFT購入・入札の取り消し(0.001〜0.005ETH)
というような形でガス代が発生するイメージとなります。
ガス代の適正価格は、イーサリアム・ブロックチェーンの利用率やNFTの取引量によって変動します。
なお、日本円でNFTを取引できるNFTマーケットプレイスを利用するなどすれば、ガス代を支払うことなくNFTを入手することも可能です。
NFTを購入するメリット
NFTは将来的に価値が上がる可能性もあるため、投資目的でNFTを購入する人もいます。
先に紹介したBeepleというアーティストが作成したアート作品「CROSS ROAD」は、当初約600万円で落札された後、そのわずか4ヶ月後に7億円で落札されました。
このアート作品は、トランプ前大統領を風刺した動画作品であったため、大統領選挙の結果を受けて落札額が跳ね上がったものです。
「CROSS ROAD」は短期間で大幅な価格上昇をした特殊な例ですが、このようにNFT作品の価値が上がることを期待して一攫千金を狙えることがメリットであり、魅力のひとつと言えるでしょう。
NFTの種類
NFTと言えばコレクティブルやアートが高額で取引されているといったイメージが強いかと思います。
NFTは他にもあらゆるジャンルやサービス、メタバースと結びついたものが数多く存在します。
ここでは、特に市場規模の大きいNFTをご紹介します。
コレクティブル
コレクティブルは、複数の類似した作品で構成されたコレクションで、NFTの中で最も市場規模の大きいジャンルになります。
サッカーのネイマール選手が所持していることでも有名な猿の画像のコレクティブNFT「Bored Ape Yacht Club」などがあります。
実はこの「Bored Ape Yacht Club」は、複数ある猿の画像を作者が個別に描いているものではありません。
ジェネレーティブNFTとも呼ばれ、背景、服、目、髪、アクセサリーなどのパーツを作成し、それをプログラミングツールで自動的に組み合わせて作成します。これで数千のNFT画像を一度に生成することができます。
さらに面白いのは、パーツをランダムに組み合わせることで一定のレアキャラクターが生成されることです。
例えば、「目からビームがでているのは数体しかいないから価値が高い」とか「目が茶色なのはたくさんいるからレア度が低い」など、レアリティ差が生まれ、それが価格にも大きく影響します。
スポーツ
現実のスポーツ選手の画像(デジタルカード)やメモリアル動画などもNFTとして取引されています。
スポーツとNFTは相性が良いとされており、画像や動画の他にもNFT画像特典付きのチケットやファントークン(スポーツチームを応援するための投票権のようなもの)もNFTとして取引されます。
この他にもスポーツゲーム内における選手のNFT化などもされており、スポーツNFTのコンテンツは多岐にわたり、その種類や市場規模は年々増加しています。
アート
単にアートと言っても、NFTとして取引されるデジタルアート作品の種類は様々です。
ピクセルアートや3Dアート、モザイクアートなどのNFT作品がある他、珍しいものではメロディーの楽譜を1音ずつ分けて作品としているようなものもあります。
ゲーム
NFTゲームは、ブロックチェーン技術により開発されたオンラインゲームです。
ゲーム内で作成したキャラクターやアイテムを売買することができるので、プロゲーマーのように特別ゲームが上手くなくても「ゲームをしてお金を稼ぐ」ことが可能です。
その他
上記以外にも、NFTは音楽やチケットなど他にも様々な形で存在しています。
詳しくは別の記事でまとめているので、是非参考にしてみてください。
NFTは稼げる?
NFTでお金を稼ぐ方法としては、大まかに次の3パターンがあります。
自作したNFT作品を販売して稼ぐ
先に紹介した「Everydays – The First 5000 Days」という作品は、約75億円で落札されているほか、日本人イラストレーターのさいとうなおき氏の作品が約600万円で取引されています。
これらのように特殊性のある作品や実績のある作者の作品でなくても評価される可能性がNFTにはあります。
日本人の小学3年生が夏休みの自由研究でNFTアート(ピクセルアート)を作成し、2000円で落札された後、現在では全48作品が合計で数百万円の取引額となっているような事例もあります。
このように、有名アーティストの作品でなくても高額で取引されるようなことがあるので、NFTアートには無限の可能性があると言えます。
NFTを売買(転売)して稼ぐ
株などと同じようにNFTを売買することで稼ぐこともできます。
もちろん、買った価格よりも価値が下がってしまうこともありますが、NFTの歴史はまだまだ浅く、市場は今現在も急成長しています。
実際に高騰したNFT作品や仮想通貨のように、何倍、何十倍の価格で転売できる可能性は十分にあります。
NFTゲームで稼ぐ
NFTゲーム内で作成したキャラクターやアイテムを売って稼ぐことができます。
ゲームをして稼ぐと言っても、キャラクターやアイテムを頑張って作ったNFTゲームのサービスが終了してしまったらどうするの!?なんて心配はあるでしょう。
これまでのソシャゲやオンラインゲームであれば、時間をかけてレベル上げや課金をして得たキャラクターやアイテムもサービスが終了すれば一瞬で消滅します。
しかし、NFTゲームのキャラクターやアイテムは消滅しません。
NFTゲームが従来のオンラインゲームと異なる点は、ゲーム内のキャラクターやアイテムが別のゲームでも利用できるという点です。
つまり、今やっているNFTゲームのサービスが終了しても、そこで得たNFTアイテムなどは他のゲームで再度使用できるのです。
他のNFT作品と同じように、半永久的な資産として残り続けるため、価値のあるものとして取引されるのです。
NFTの将来性と課題・問題点
NFTの市場は急速に拡大しており、ビジネスや投資の対象としても魅力的であると言えます。
しかし、NFTの歴史はまだまだ浅く、なおかつ革新的なものであることから、課題や問題点も残ります。
日本の大企業もNFTに参入している
日本では、2020年頃からNFTへの注目が高まりました。
仮想通貨取引所やIT企業をはじめ、ゲームや印刷業界などがNFTビジネスに参入するようになりました。
NFT事業に参入している日本の大企業を一部紹介すると、Coincheck、メルカリ、楽天、スクウェア・エニックスなどがあります。
この他、誰しもが名前を聞いたことがあるような有名企業がNFT事業に参入していることから、日本でもこれからさらに盛り上がりを見せてくれるでしょう。
NFTに対する法整備が未熟
NFTの法的な取り扱いや著作権、売却利益に対する課税などの法整備は、日本のみならず世界中で万全ではない状況です。
詐欺やハッキングなどのトラブルにあった際に法的な解決が困難であったり、利益を得た際の課税の仕組みについてしっかりと理解する必要があるといった点は、NFTを取り扱う上での懸念事項となります。
NFTマーケットプレイス利用時は注意が必要
アマゾンなどでのネット通販の場合、誤って購入してしまった商品はキャンセルや返品をすることができます。
しかし、NFTの購入においてはキャンセルや返品、クーリングオフなどの手続きはできません。
NFTマーケットプレイスは、案内が英語表記であったり、価格が仮想通貨表記であったりと、慣れない画面での操作となるため、商品の内容や価格などをしっかりと確認して購入する必要があります。
誤って高額なNFTを購入してしまうリスクがあるため、慣れないうちは特に慎重に利用しましょう。
ガス代(手数料)が高い
これまでにもご紹介したように、NFTの売買ではガス代と呼ばれる手数料が発生します。
株やFX取引の手数料は基本的に一定ですが、このガス代は取引するNFTによって差があったり、高騰する可能性もあるため、注意が必要です。
ただし、日本円などでの取引が可能なNFTマーケットプレイスを利用すれば、ガス代がかからない場合もあります。
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